先天性代謝異常等検査は、心身障害の原因となる疾患を早期に発見し、早期治療に結びつけて、それらを未然に防ぐために行なう新生児の検査です。
  当協会では、これらを行っている県内唯一の検査機関であり、平成25年4月から先天性代謝異常等検査にタンデムマス法という検査法を導入し、新生児マス・スクリーニング対象疾患を6から19疾患に拡大しました。

 元気な産声を上げて生まれた赤ちゃんに、生まれつきの病気が隠されていることがあります。その中には、早く発見して治療すれば、発症を予防でき、さらには症状の軽減が期待されますので、健康な子どもと同じように成育することができる病気もあります。

先天性代謝異常等の検査とは

 「新生児マス・スクリーニング」は、生後4~6日目の赤ちゃんのかかとから、少量の血液を採取して行います。
  私たちの体内では、食べ物から絶えず栄養素を摂取し、体を構成する成分にしたり、エネルギーとして使用し、不要になったものを排泄するという一連の化学変化を繰り返しており、これら化学変化を代謝といいます。この化学変化をスムーズに回す役割を果たすのが酵素や輸送体というタンパク質です。
  先天性代謝異常症とは、この酵素や輸送体が正常に働かないために、代謝の流れがせき止められ、異常なものが体に溜まったり、必要なものが欠乏したりして引きおこされる疾患です。これら代謝過程で障害を受ける栄養素(アミノ酸、有機酸、脂肪酸、糖など)の種類によって、アミノ酸代謝異常症、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症、糖質代謝異常症などと分類されています。

 

タンデムマスとは

 タンデム(直列に並んでいる)、マス(質量)、スペクトロメーター(分析計)、すなわち、タンデム・マススペクトロメーターの略称であり、2つ直列に配置された分析計のことを指します。タンデムマス法による検査では、微量の血液から血中のアミノ酸やアシルカルニチンを高感度で分析することができます。

 

 

先天性代謝異常等検査 対象疾患

*1 一次対象疾患とは

 見逃す確率が低く、早期発見により病気の予防・軽減に役立つと考えられる疾患であり、現在、16疾患が福島県のマス・スクリーニング対象疾患になっています。

*2 二次対象疾患とは

 見逃す可能性があったり、治療効果が十分に証明されていないために、現時点では、対象疾患として検討段階にある疾患であり、現在はマス・スクリーニングの対象疾患になっていません。

 

内分泌疾患

先天性甲状腺機能低下症

 甲状腺は、脳や体の発育・発達に大切なホルモンを分泌しています。先天的に甲状腺の働きが悪く、甲状腺ホルモンがうまく分泌されないと、知能低下や発育障害がおこってきます。

先天性副腎過形成症

 副腎は腎臓の上にある臓器で、発育と生命維持に必要なホルモンを分泌しています。先天性副腎過形成症では、副腎不全症になり、血液中の塩分を保つことができなくなって、脱水症状がおこり、生命の危機にまで陥ることがあります。また、副腎皮質ホルモンが不足し、男性ホルモンが増加すると、皮膚が黒ずみ、外性器の形により、女の子が男の子に間違われたりする上、発育不良がおこってきます。

 

代謝異常症

アミノ酸代謝異常

 タンパク質は代謝されてアミノ酸になりますが、代謝の過程に障害があるために、特定のアミノ酸が体内に蓄積され、これら蓄積した有害なアミノ酸が脳障害をおこしたり、徐々に発達遅滞を進行させたりします。

有機酸代謝異常

 アミノ酸の中間代謝過程に障害があるために、中間体である有機酸が過剰に蓄積され、体内が酸性に傾いて、さまざまな症状が出現します。
  発達遅延や、呼吸不全、そして意識障害などの重大な症状を引き起こす場合もあり、治療が遅れると死に至ることもあります。

脂肪酸代謝異常

 脂肪からエネルギーを作り出す過程に障害があるため、ふだんは正常にみえますが、空腹時や運動時、ストレスなどで多くのエネルギーを必要としたときに、エネルギー不全になり、けいれんや意識障害、筋力低下や筋痛、心不全等による息苦しさなどの症状が出現し、重症例では、突然死することもあります。

当協会では、福島県より委託を受け、県内で出生したほぼ全新生児の先天性代謝異常等検査を実施しています。
検査料は福島県が負担しますので無料です。ただし、採血料と検体郵送料は保護者負担となります。
検査のお申し込みについては、出産された産科・婦人科、または小児科にお問い合わせください。

 

先天性代謝異常等検査事業のフローチャート

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