がん検診
現在、わが国のがんによる死亡者数は年間30万人を超え、死亡原因の第1位を占めるようになりました。しかし診断と治療の進歩により、一部のがんでは早期発見、そして早期治療が可能となってきました。
がん検診はこうした医療技術に基づき、がんの死亡率を減少させることができる確実な方法です。
胃がん検診
胃がん検診を受けましょう!
★胃がんの死亡率は、全てのがんのうち第3位!(2021年)
胃がんは早期発見ができれば10年、生存率は90%を超えるといわれています。
しかし、早期の胃がんはほとんどが無症状であることから、早期で発見するために、定期的に検診を受けましょう。
-
胃がん検診を受けたほうがよい方
- 50歳以上
- ピロリ菌に感染していると言われたことがある方、ピロリ菌除菌をされた方
- 塩分の多い食事をされる方
胃部エックス線検査
- 撮影は、日本消化器がん検診学会の指針に則った方式で行います。
- 現在の病状、既往歴、家族歴、過去の検診受診状況をお聞きします。また、当日の体調や飲食、薬の服用状況をお聞きします。
- 検査は8体位行い、5分程度で終了します。
- 検査の進行状況により、適宜追加の撮影を行います。
- 検査後に、下剤と検査後の注意点を記載したリーフレットをお渡しします。速やかに下剤を服用して、白色のバリウム便が排泄されるまで、たくさんの水分を摂取してください。
大腸がん検診
大腸がん検診を受けましょう!
大腸がんの死亡数は食生活の欧米化もあり、罹患する人(かかる人)が増加しています。わが国のがんによる死亡原因の多くを占めています。近年、女性では死亡数のトップとなっています。
早期の大腸がんは自覚症状がないことが多いですが、大腸がんは早期に発見して治療すればほぼ治癒が可能です。
大腸がん検診はこうして行われます
-
便潜血検査
下部消化管(小腸・大腸など)のどこかから出血すると、便の中に血液が混入します。出血が多ければ血便となって肉眼で分かりますが、通常は微量で目には見えません。
便潜血検査は、2日分の便を採取し、肉眼では確認できないような血液が混じっていないかを調べる検査です。
検査は食事や薬剤の影響を受けないため、検査前の制限は特にありません。排便後に便を採取する検査のため、痛みが伴うこともありません。
便潜血検査で陽性となった場合には、何らかの消化管の病気を発症している可能性があるため、早めに精密検査を受けるようにしましょう。 -
大腸がん検診を受けたほうがよい方
- 40歳以上の方
- 前年大腸がん検診未受診の方(毎年検診を受けることをおすすめします)
肺がん検診
肺がん検診を受けましょう!
★がんによる死亡のうち、男性の第1位、女性の第2位!
肺がんは進行した状態で見つかることが多く、多臓器への転移もしやすいため男女合計の死亡率が一番高いがんです。早期の肺がんに症状があることはほとんどありません。毎年1回の胸部エックス線検査を受けましょう。
★タバコを吸うと肺がんのリスク(肺がんになる確率)が2~5倍に!
-
肺がん検診を受けたほうがよい方
- タバコを吸われる方
- 身近にタバコを吸う人がいらっしゃる方
胸部エックス線検査
胸部にエックス線を当ててエックス線写真を撮影する検査です。
上半身はボタンや金具のない服装で撮影を行います。
喀痰細胞診検査
痰の中に含まれている細胞を染色して、正常な細胞かどうか顕微鏡で調べる検査です。
-
喀痰検査を受けたほうがよい方
- たばこを吸う人、過去に吸っていた人
- 50歳以上でたんが出る人
- 1日に吸う(吸っていた)たばこの本数×年数が600以上の人
- せき・たんが現在ある方
子宮がん検診
20歳になったら子宮がん検診を受けましょう!
子宮がんは、子宮の入り口にできる「子宮頸がん」と子宮内部にできる「子宮体がん」があります。
子宮頸がんは、20代後半以降から増え、特に30~40歳代で近年増加傾向にあります。子宮頸がんは、早期のうちはほとんど自覚症状がありません。早期に見つけるには、検診を受けるのが最善の方法です。早期のうちに治療すれば、90%以上が治癒します。
子宮体がんは、食事の欧米化により増えているがんで、50歳以降の方に多く発見されています。
こんな方に検診をおすすめしています
- 20歳以上で、今まで一度も子宮がん検診を受けたことのない方
- 前年子宮がん検診未受診の方
子宮がんの種類
子宮がんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類があります。
-
子宮頸がん
- 子宮の入り口(頸部)にできるがんです。
- 子宮がん患者の約80%の方がこれに当たります。
-
子宮体がん
- 子宮の奥の方(体部)にできるがんです。
- 50歳以上で不正出血のある方は、この検査も必要となります。
乳がん検診
乳がん検診を受けましょう!
★女性のがんのうち、かかる確率第1位!
乳がんは女性がかかる割合が最も高く、およそ9人に1人が乳がんになると言われています。(2021年)
乳がんは早期に発見できると治る可能性の高い病気です。早期で発見するために乳房エックス線検査を2年に1回受けましょう。
乳房エックス線検査(マンモグラフィ)
乳房にエックス線を当ててエックス線写真を撮影する検査です。
- 検査では、上半身の衣類を脱いでいただきます(検診車でも個室で着替えができます)。
- 撮影機器に乳房を挟み、エックス線を当てます。挟んでいる時間は10~30秒くらいです。
- 検査時間は撮影枚数によりますが、5~10分です。
ただし、以下に該当する方は「検診」ではなく、専門の医療機関を受診してください。
- 自覚症状がある方
- 豊胸術を受けた方(自家組織を注入した方も含む)
- 心臓ペースメーカー装着、V-Pシャント留置、または前胸部CVポート留置している方
- がんの手術をしたことがある方
乳房超音波検査
乳房超音波検査は、乳房に超音波をあて、その反射波を画像に映し出すことで乳房内部の状態を知ることができます。乳房内の病変の有無、しこりの大きさ、性状などがわかります。
マンモグラフィ検査での画像診断が困難な方(乳腺が発達している方や若い世代など)でもしこりが見つけやすく、小さなしこりも発見できるのが特徴です。
放射線被ばくがないため、妊娠中の女性でも安心して検査を受けることができます。痛みを伴わず、身体的苦痛がないのもメリットです。
- 検査は、上半身の衣服を脱いで、診察台に仰向けに寝て行います。
- 乳房にゼリーを塗り、プローブと呼ばれる機器を当て、上下左右に動かしながら、モニターに乳房の断層面の画像を映し出します。
- 検査時間は約10分です。
3Dマンモグラフィ
3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)による乳がん検診を受けてみませんか?
従来のマンモグラフィ(2Dマンモグラフィ)と同様に、エックス線で乳房を撮影する検査ですが、3Dマンモグラフィでは乳房の断層画像(CTのような断面の画像)が得られます。
3D画像の特徴・メリット
2Dマンモグラフィは、厚みのある乳房を平面画像1枚で表現していたため、乳房内にある乳腺が多い方は、乳腺が幾重にも重なった写真になります。
一方、3Dマンモグラフィでは、角度を変えながら撮影しますので、たくさんの断面画像が得られます。厚みのある乳房の内部が、まるで本のように1枚ずつ表現できるので、それぞれが乳腺の重なりの少ない写真となります。
3Dマンモグラフィは、2Dマンモグラフィが直面していた乳腺の重なりを少なくすることで、【病変をみつけやすく】、また【あたかも病変のように見えてしまうものを少なく】することができます。
2Dマンモグラフィでは捉えにくい乳がんの所見像を、3Dマンモグラフィでは鮮明に捉えています。
装置紹介
GEヘルスケア・ジャパン株式会社製「Senographe PristinaTM」(セノグラフ プリスティーナ)
“負担の少ない検査を”
検査の際、撮影台にのせた乳房を引き伸ばして前に出す必要があります。今までは、このときに撮影台の角が助骨に当たることにより、痛みを感じてしまうということがありました。今回導入した機種は、以前の機種に比べて撮影台の厚みを減らし、角に丸みを持たせましたので痛みの軽減が図られました。
検査についてQ&A
- 実際の検査は従来の検査とどう違うのですか?
-
従来同様、乳房を撮影機械で挟んで固定することには変わりはありません。しかしその後、機械が自動で角度を変えて多方向から撮影します。
乳房を挟んでいる時間は1回の撮影につき数秒ほど長くなります。 - 痛い検査ですか?
- 従来同様、乳房を圧迫するため、個人差はありますが多少痛みがあります。圧迫は乳房内部を鮮明に写すため、また被ばくを減らすために必要なことですのでご了承ください。
- 被ばくは増えますか?
-
2Dと3Dマンモグラフィで受ける被ばく量はほぼ同じであり、単純計算でも両方撮影すると2Dマンモグラフィの倍となりますが、最新機種の導入により2Dマンモグラフィの被ばく量は以前より減っています。そのため2Dと3Dの両方を撮影しても、マンモグラフィガイドラインに記載されている基準値を超えない線量で検査ができます。
2Dと3D両方撮影したときの被ばく量は、標準的な大きさの乳房の方で約0.24mSv、大きい乳房の方で約0.36mSvです。 - 時間はどのくらいかかりますか?
- 検査時間は10~15分くらいですが、当日の予約状況により待ち時間が長くなる場合があります。
- 誰でも受けられますか?
-
年齢制限はありませんが、以下に該当する方はお受けできません。
- 妊娠中、または妊娠中の可能性がある方
- 乳房の美容整形術を受けた方(脂肪やヒアルロン酸注入も含む)
- 心臓ペースメーカー装着、V-Pシャント留置、または前胸部CVポートを留置している方
- 乳がんの手術をしたことがある方
- しこりや痛みなどの自覚症状がある方(自覚症状がある場合は、当センターまたは他院の乳腺外来等を受診してください)
お申し込みとお問合せ
従来の人間ドックまたは乳がん検診で実施していた単独の2Dマンモグラフィのオプションとしてのお申し込みを受け付けております(どちらも全額自己負担)。そのため、撮影は2D+3Dとなります。
3Dマンモグラフィをご希望の方は、ご希望日の1週間前までに、お電話にてご予約ください。1日に実施できる人数に限りがありますので、お早目の予約をおすすめします。
また、本検査についてご質問などありましたらどうぞお気軽にお問合せください。